2014年05月24日

中華麺 「めとき」@新大久保

チャック、いきなりで悪いんだけど、中島敦って知ってるか?
知らない?
そりゃあ、無理ないわな。
その中島敦の小説に「名人伝」ていうのがあるんだけど、
どういう内容かってえと、昔の弓の名人の話なんだよ。
弓を極めようとした人が、「不射之射」の極意に達するって話。
弓を射ることなく射るって、まあ、概念的な話ではあるんだけどさ。
傑作だから、お前も一度読んでみるといいと思うぞ。
あ、漢字が多いから、お前の日本語では厳しいかな…。

初回はちょいとアクシデントがあってリベンジを目論んでいためとき。
意気込んで出かけたにも関わらず、あっさりフラれてしまった痛恨の前回
この日やってなかったら、店に火をつけようかというぐらいの鼻息だったよ。
願いが通じて店の外には煮干しの匂いがプンプン、しかも一番乗り

DSCN2265.JPG

実はこの画像、初回訪問時の使い回し。
だって、まともなオペレーションで出てきたラーメン、すぐに喰いたかったんだもん。
初回に感じたように、つゆをすすってもニボニボしていないのが摩訶不思議。
麺は茹で時間がピッタリと決まっていて、それはシャキシャキの歯応え。
メンマは初回よりもさらに味が薄いような感じだけど、歯応えは良好。
そしてこの日の圧巻はチャーシュー、ギリギリ火が通った仕上げで分厚い切り出し。
もうさ、どうなっちゃってんだよ!みたいなレベルなわけ。

途中で黒胡椒・ラー油・酢を使っての味変を試してみた。
一番効果的だったのは黒胡椒だけど、入れなくても何ら問題はないな。
そもそも「くどい」とか「飽きる」タイプのラーメンじゃないからね。
一心不乱に喰って、会計したらはいさようなら。
食洗機のその後を尋ねることもなく、そそくさと店を出たよ。
だって、店の外ではにわか雨の中を大勢が行列しているんだから。

DSCN2264.JPG
これも使い回し…。

ニボニボしていない煮干しスープに、シャキシャキの麺。
歯応えのメンマに、肉汁溢れんばかりのチャーシュー。
どれもが個性的なのに、どれ一つとして突出していない構成。
ラーメンにおけるバランスの、ひとつの完成形なんじゃないだろうか。

俺、思うんだよ。
豚骨とかwスープとか、まあいろいろなラーメンがあるじゃん。
最近じゃイタリアン・テイストなんてのもあるぐらいだからね。
だけど、ラーメンは、余分なものを脱ぎ捨てていく時代になったかもよ。
極端な話が、スープのダシを極限まで薄く作ってみる。
麺は、個性に乏しいぐらいのものをさりげなく使ってみる。
チャーシューやメンマの味つけも、ギリギリまで控えてみる。
全体的にどんどん薄味に、悪く言えばきわめて無個性な一杯に向かう。
それは、日本料理で言う「無味の味」に通じるんじゃないだろうか。
筍やフグみたいによく考えると何が嬉しいのか分からないような喰い物、
日本人はそういうものの中に潜む「かそけき味」を探るのが得意で、好きなんだ。
個性的であればあるほど珍重されるのがラーメンかもしれないけど、
無個性という個性があっても驚けなくなる時代が来るのかもしれないな。

ラーメンを喰って筍やフグに思いを馳せるのは、おそらく俺だけだろうよ。
だけど、弓の名人が「不射之射」の極意に達したのと同じように、
料理が「無味の味」に達したら名人伝に名を連ねる資格があるんじゃないか?

めときのお冷やに使われているのは、氷屋の氷だ。
製氷機の氷は臭いけど、氷屋の氷はまさに「無味の味」。
こんなところにも、おやじの意地が見え隠れするんだよな。

めとき

昼総合点★★★★ 4.5



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posted by Mr.ぷう。 at 16:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 食い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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